色覚捕食とは、有機物を得られなくなった人類が新たに 獲得したエネルギー取得手段である。
地球上から人類由来以外の有機物が消えつつあった時代に、このままでは人類が絶滅してしまうと危惧した、人体改造論者たちが、遺伝子組み換えと侵襲的人体改造を用いて人体を人為的に環境適応させた形である。
古来より、光合成を行う葉緑体を人類も取り込むというアイディアはあったものの、大量のエネルギーを消費する人体において、光合成によるエネルギー確保は強度が低く、実用性に乏しいものであった。
そこで人体改造論者たちは、より強度の高いレーザー光を周囲の環境に満たすことで、実用的なエネルギー量を人体に取り込むアイディアを編み出した。しかし、。従来の葉緑体では、これらのレーザー光は焼けてしまう。そこで、通常の環境では機能しないものの、コヒーレンスの高い光に反応し、効率的にエネルギーへ変換する生体素子、RGBを発明した。これを細胞内共生するように、mRNAの形で取り込み、また皮膚をレーザー光を透過するように張り替えることで、色覚捕食者が完成した。
生き延びることには成功したものの、人類は失ったものを懐古していた。味覚である。有機物を経口摂取していた時代に謳歌されていた、「味覚」は終わりを告げ、無味乾燥なレーザー光のみが色覚捕食者たちを照らしていた。
一方で、「味覚」の代わりに「色覚」を据えようとする一派もいた。
色覚捕食が、「色覚」と呼称されるゆえんとして、レーザー光の波長ごとに生成する栄養素が違うことが挙げられる。そこで、色覚捕食を行う際には、レーザー光の波長を次々と切り替えて、バランスの良い色の摂取をしている。
しかし、人は業を背負う生き物である。今度は、波長の切り替えパターンをずらすことで、それを「味覚」の時に感じていた「うまさ」として認識する一派が現れた。
これに目をつけたのが、テッカマキーアーマチュアが制作する色覚捕食バランである。